作詩

夢をゆく

夢の中身はわりと暖かい冬で金色の光が町の空に見えたポップな足音 少女はカバの背に乗り話し足りない背景をすべて置いて春へ向かう時報を歌う歩いてゆく寒暖差に風邪を引き 後ろを振り返る夢の外で夢の続きを見るよアスファルトに枯れた緑をやさしい風が揺…

斜陽

乾いた風に吹かれた君の頬に残る一筋の道に思いを重ねた春の遠い夕方積まれて消えゆく細い時間の中に いつもの横顔が浮かぶそれが僕だと知ったのなら 生まれた足音にただ耳を澄ましておいてよ思い出なんて、滲ませていれば見つめられるものだと思っていたの…

秘密

いつかの思い違いが今日の日まで溶けないで、忘れてないで、凍りついてもいないで生温かい肌で湿ってたあなたが夏の傘を開くのを見ていたくて子どものはしゃぐ声のする緑の坂で 小さく座ってた自転車のベルとあなたの知らない曲のアラーム、鳴り止まない檸檬…

群青写真

ありとあらゆるしがらみの中であなたが好きだと伝えるために晴れた日にビニール傘さして歩いた汚れた川が緩やかに貫く街のどこかで真新しい人形が懐かしいダンスを踊ってる遠い空を見上げて私は思う世の中の定めに沿った優しい時間を生きてることについて、…

或る暑中

さりげない言葉で昔を思い出して急に背中を丸めて歩くようになった僕は誰とも同じようにはできないから右の手を内に隠して どぎつい眼鏡をかけている 君がくれた涼しい季節に滲む汗をあの日、一番に拭い取ったんだ美しい僕の気持ちを示すためにベロの先の熱…

始発

尻尾の曲がった野良猫と一緒に乗り込んだ霧雨を裂いて進む列車の中には 僕を知らない顔はいない留まる駅で響き鳴る、水の音それでも見つけられはしないだろう縛られる前に身包み剥ぎ取って 言葉を捨てられるのは僕しかいない外へ出て行くのは帰ってからにし…

明け方

黄色のクレヨンで空を描いて 大袈裟な夜を浮かべてみたそんなに綺麗なものじゃなかった私が言うのもなんだけど、って彼女は言う優しい口紅の灯るほうへ歩いてた闇夜の中で紡がれたのは僕の魂の方で残った想いに応えを置いて還っていった蝋燭の街が窓辺に並ん…

New World

いつも真面目に狂ったフリをしていつか誰かが僕に気付くまでそしてどこかで君が立ってたらきっと何かを話すだろうだけど今日も世界は廻るからもっと静かな時を待とう あの娘に惚れた人の数だけ幸せが消えて無くなっていくというのに冬が嫌いだよと着込んだコ…