一人の風

 

寂しい丘の上で待っていた
泣いた風の気持ちになりすましたら
私の心は春すぎて 黄色い寝言に返事した

生きもののように揺らめいて
風になった横顔を見つけられたら
淡い色したスカートがはためく私の日
遠い遠い運命が 軽い噂で歩き出す
そんな人ね ここで出会ったの
小さなお話してた あなたと花言葉

優しい夢の中で流れてた
今日の名前の調べを追いかけるふりして
私の歩幅は気まぐれに 昨日のほうへ向いている

生きもののように瞬いて
雨を受けた鼻先をなぞっていられたら
甘い世界にリボンを結んで幸せねって
長い長い思い出を 白い身体で抱きしめる
そんな人ね 私は待ちぼうけ
小さなお話してた あなたと結び花

あなたを攫った風の中
私の心は春すぎて 便りの返事も忘れてた
そんな季節ね 振り返るだけ
小さなお話してた 私とあなたの移ろい花

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春の詩です。
敬愛するスピッツの草野さんの歌詞にはよく花が出てきて、それがいいなって思っていたので、花のつく言葉を探しました。こうやって日常生活に使わないであろう語彙ががどんどん増えていくのが、好きですね。