絵葉書

どこかに置き忘れてしまった絵葉書を探すために家を出た
たぶん見つからないと思うんだけど、
僕は歩いて探しに行く

どこかで誰かに拾われたら
それならそれでいいんだけど

この街の景色には代えられない価値も
無かったような気がしてる

受け取り方を間違えたせいで
振り返り方を忘れてしまったこと
君はまだ覚えているのかな、昔の話と笑うだろうか
少し風が吹いたから 少し髪が揺れていた
そんな苦悩も昔のままだよ
交差点の偶然に立ち尽くして
雨の気配に心を澄ましている、つもり。

静かに流れるエルトン・ジョンのピアノの旋律のように
果てない雰囲気のままでいられたら
曖昧に頷いていたあの時間を此処に置き
そんな感じの昼下がり、
君はどこにいても優しくいられるだろう

どこかに置き忘れてしまった絵葉書を探すために家を出た
たぶん見つからないと思うんだけど、
僕は歩いて探しに行く

どこかで誰かに拾われたら
それならそれでいいんだけど

この街の空の下で捨てられるだけの価値は
まだ見つけられていなかった

         *****

学生の頃、いろんな音楽に出会いました。
元々音楽は好きだったけど、大学に入ってからさらに幅が広がり、ほんとにいろんな音楽を聞きました。
基本的にバンドマニアで、海外から日本、古今東西のロックミュージックを漁っていたのですが、ビリージョエルとエルトンジョンのピアノに出会って何かが変わった気がしました。
都会的で、華やかで、どこか退廃的で、懐かしいような…そんなピアノの旋律を感じました。

この詩はエルトンジョンの「your song」という曲に心を傾けていた時に生まれました。
やさしい歌声とピアノが、そっと昔の恋心を振り返らせてくれるような…そんなふうにして、曲からインスピレーションを受けることがこの後も多々ありました。

音楽と詩は、いまや僕にとって切り離せないものとなっています。

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