絵葉書

どこかに置き忘れてしまった絵葉書を探すために家を出た
たぶん見つからないと思うんだけど、
僕は歩いて探しに行く

どこかで誰かに拾われたら
それならそれでいいんだけど

この街の景色には代えられない価値も
無かったような気がしてる

受け取り方を間違えたせいで
振り返り方を忘れてしまったこと
君はまだ覚えているのかな、昔の話と笑うだろうか
少し風が吹いたから 少し髪が揺れていた
そんな苦悩も昔のままだよ
交差点の偶然に立ち尽くして
雨の気配に心を澄ましている、つもり。

静かに流れるエルトン・ジョンのピアノの旋律のように
果てない雰囲気のままでいられたら
曖昧に頷いていたあの時間を此処に置き
そんな感じの昼下がり、
君はどこにいても優しくいられるだろう

どこかに置き忘れてしまった絵葉書を探すために家を出た
たぶん見つからないと思うんだけど、
僕は歩いて探しに行く

どこかで誰かに拾われたら
それならそれでいいんだけど

この街の空の下で捨てられるだけの価値は
まだ見つけられていなかった

         *****

学生の頃、いろんな音楽に出会いました。
元々音楽は好きだったけど、大学に入ってからさらに幅が広がり、ほんとにいろんな音楽を聞きました。
基本的にバンドマニアで、海外から日本、古今東西のロックミュージックを漁っていたのですが、ビリージョエルとエルトンジョンのピアノに出会って何かが変わった気がしました。
都会的で、華やかで、どこか退廃的で、懐かしいような…そんなピアノの旋律を感じました。

この詩はエルトンジョンの「your song」という曲に心を傾けていた時に生まれました。
やさしい歌声とピアノが、そっと昔の恋心を振り返らせてくれるような…そんなふうにして、曲からインスピレーションを受けることがこの後も多々ありました。

音楽と詩は、いまや僕にとって切り離せないものとなっています。

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今年の目標〜1ヶ月進捗〜

前回、今年の目標を立てた記事を書きました。

anohi-no-nekoze.hatenablog.com

 

あれから1か月半が経過したので、進捗の報告です。

 

①作詩活動を頑張る

「新しい詩をもっと書いていく」という目標を立てました。
これはちまちまではありますが、新作も生み出しております。
こちらのブログへもそのうち掲載していこうと思います。

また、2月からB-REVIEWさんという詩投稿サイトに投稿を始めました。
今のところ、昔に書いた「New World」と、新作の2作品を投稿し、どちらにも評価のコメントをいただいております。友人知人の感想はいただいたことはありましたが、見知らぬ第三者からのコメントは初めてで、かなりドキドキしています、、、
でも、これがすごくいい刺激になります。なんか、他者に評価していただくと、ちょっとクリエイターになれた気がしますね。これからも頑張っていきます。

 

スピッツのライブに行く

今年は全国ツアー、映画上映、そしてNewアルバムリリースと、盛りだくさんのスピッツ
もう今から全部チェックして、予定を立てています。チケットも絶対当てる気でいます。
デビューから30年を超えるベテランバンドですが、まだまだ精力的に活動し、ファンに元気を与えてくれる。そんな素敵なアーティストだから、ファンとしても全力で応援したいと改めて感じる今日この頃です。頑張っていくぞ。

 

③珈琲のオンライン販売を始める

こちらは、まだ未着手です。
物事には順序があります故、転職活動に勤しんでいたものでしたので…
でも、忙しいと言い訳していてはいつまでも始まらないので、できることからコツコツとやっていこうと思っています。
豆に合わせて煎り方や挽き方、淹れ方を変えて、より質の高い味を目指してゆく。
その珈琲の世界の奥深さを日々勉強しています。
販売を始めた際には、きっとこの下積みが活きてくるはず、と信じて。頑張ります。

 

④転職活動を成功させる

こちらが最近では一番のトピックスですね。
結論から言うと、内定決まりました!

エージェントを二つ利用して進めていたのですが、書類選考の段階で悉く落ちる日々。
たまに面接があっても、それも駄目。
まあ、フリーター時代が長かったり、正社員期間が短かったり、現在も派遣社員という私の異色の経歴的にそれは覚悟の上ではありました。
なのでそんなに暗くはなっていなかったのですが、そもそもエージェントの紹介してくる求人のセンスが微妙。エージェントがあんまり親身になってくれない。
となると、やり方を変える必要はあるかな、と思い別の転職サイトでエージェント無しで登録。
そこをメインに活動を進めたところ、いい求人が見つかり、面接でもお互いかなり好感触、二度の選考を経て内定を頂きました。
即断は凶と思い、他にも面接は受け続け内定もぼちぼち貰いいましたが、パートナーや友人、親の相談し、検討を重ねた結果最初の企業にいくことに決めました。やっぱり最初の直感というか、そういうの結構大事なのかもしれませんね。

しかし、転職の本番はここからです。
入ってから何が待ち受けているか…。
いまからめっちゃドキドキしていますが、ここで思ってたんと違った、と早期退職でもしたらなんのための転職活動だったのかとなります。
自分の選択に責任を持ち、将来のために頑張っていきます。

⑤小説を書く

なかなか進まずですね…。
頭の中で、こんな設定いいな、こんな展開いいな、と色々考えているのですが、いざPCの前に座ると文章が浮かばん。書いては消してを繰り返す日々。
朝井リョウさんの『何者』という小説で
「頭の中にあるうちは、なんだって傑作なんだ」という台詞が登場します。
これめっちゃ沁みますね。痛い痛い、ほんとに。
頭の中で描く物語はめちゃくちゃおもろいっておもってるんですけど、それが外に出ないうちは作品でもなんでもない。ただの妄想なんですよ。
書かねば、書かねば、そう思いながら毎日生きています。そんな切羽詰まらんでも…と自分で思う時もありますが、人生でめっちゃ頑張る時期があるとしたら今かな、今年かなという予感があるので、自分に負けず踏ん張りたいと思います。頑張ります!!

以上、現在の進捗でした。ではまた!

 

 

夢をゆく

夢の中身はわりと暖かい冬で
金色の光が町の空に見えた
ポップな足音 少女はカバの背に乗り
話し足りない背景をすべて置いて
春へ向かう
時報を歌う
歩いてゆく
寒暖差に風邪を引き 後ろを振り返る
夢の外で夢の続きを見るよ
アスファルトに枯れた緑を
やさしい風が揺らすまで

 

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        *****

この間の大寒波と大雪の日、
僕の住む町も真っ白な世界に覆われました。
その光景を、寒さに震えながら見つめている時に浮かんできた詩です。
夢のような白銀の世界を歩いて越えて、いつか春の季節へと向かう。

このブログには過去作を順々に上げていますが、今回は最新作です。たまにはこうして「今の自分」も上げていきたいですね。

 

一人の風

 

寂しい丘の上で待っていた
泣いた風の気持ちになりすましたら
私の心は春すぎて 黄色い寝言に返事した

生きもののように揺らめいて
風になった横顔を見つけられたら
淡い色したスカートがはためく私の日
遠い遠い運命が 軽い噂で歩き出す
そんな人ね ここで出会ったの
小さなお話してた あなたと花言葉

優しい夢の中で流れてた
今日の名前の調べを追いかけるふりして
私の歩幅は気まぐれに 昨日のほうへ向いている

生きもののように瞬いて
雨を受けた鼻先をなぞっていられたら
甘い世界にリボンを結んで幸せねって
長い長い思い出を 白い身体で抱きしめる
そんな人ね 私は待ちぼうけ
小さなお話してた あなたと結び花

あなたを攫った風の中
私の心は春すぎて 便りの返事も忘れてた
そんな季節ね 振り返るだけ
小さなお話してた 私とあなたの移ろい花

          *****

春の詩です。
敬愛するスピッツの草野さんの歌詞にはよく花が出てきて、それがいいなって思っていたので、花のつく言葉を探しました。こうやって日常生活に使わないであろう語彙ががどんどん増えていくのが、好きですね。

 

カフェイン

宇宙の中で頭が回った
脳みそ揺れて さよならコンテンポラリー
夢に痛んで、傷付いて、
だからもうやめようって道すがら
汚い犬ころに笑われてんだ それもそうだな
明日、担える想いも無いくせに
僕の心に響かれた約束事の綺麗さが見たくて
乱れたコスモの欠片を咲かせる 悪い運命にすがった
そんな感じに生きてみた日々だった

だから今日はコーヒーを一杯飲んだ
不味いコーヒーを飲んだ
僕の青春の断片を一口飲んだ
それから自由に歩き出した
タツムリの殻に打ち出す雨の音が聞こえてた
黄昏時にコーヒーを飲んでいた

ちいさな優しさで繋ぎとめていた 糸の先っぽが
ふたつ、みっつと枝分かれしていたのをみてしまったから
くだらない賭け事のイメージに取り乱して
希望的なコロナの温度で冷ませる僕の根底を知った
そんな話に明日は笑えるかわからなかった

だから今日はコーヒーを一杯飲んだ
不味いコーヒーを飲んだ
僕の青春の情動を一口飲んだ
それから一途に歩き始めてみた
タツムリの後を付き追う僕の足が呼んでいた
黄昏時にコーヒーを、お熱いうちに……。

           *****

こちらは確か、大学生になったばかりの頃に書いた詩です。今はハンドドリップのコーヒーに凝っている日々ですが、この頃はインスタントのコーヒーを不味いと思いながら、眠気覚ましの為だけに喉に流し込んでいました。

そんな若い日々に書いた詩ですが、今読み返せばなんだか難解ですね…。
でも、なんかこれを書いた時のことはなんとなく覚えてる。新生活のワクワクと同時に、入学当初に出来た友達のグループのウェイウェイした感じに本当は馴染めなくて、どことないモヤモヤも胸に抱えていた時期。

そんな生活を、宇宙の途方もなさとコーヒーという身近なもののふたつに重ね、湧き上がってくる言葉を書き付けた感じです。
だから言葉に意味がないっていうことに意味があるような詩です。今思い返せば、合わない友人関係なんてすぐに切ればいいのに、一生懸命悶々としていた時代のことを青くていいなって思います。

 

 

斜陽

乾いた風に吹かれた君の頬に残る一筋の道に
思いを重ねた春の遠い夕方
積まれて消えゆく細い時間の中に いつもの横顔が浮かぶ
それが僕だと知ったのなら 
生まれた足音にただ耳を澄ましておいてよ
思い出なんて、
滲ませていれば見つめられるものだと思っていたのに
疲れた声で呟く昔の歌が どうしても好きになれなかった
僕は心を閉ざしながらも 君の奇妙な舌先に
魅せられ続けていたみたいだ
そんなこと、もう君は忘れてしまったけど
瑠璃色の言葉だけは今もまだ
僕の天井に放物線を描いてやってくるよ

求めることに罪を感じて 俯きながらも
僕は今日も求めて ただ求めて
捨てて切なくなったりしても 求めて
求めて、雨にも追いつけなくて
そんな眼差しを可哀想という言葉で
遺させるような真似だけは 許したくなくて
僕は僕として僕だけを抱いていた

陽が、傾いた時間と同じ頃に
君の呼んだ感傷が窓を叩いた
Tシャツの裾にぐるりと握られた懐かしい風の中で
僕はひとつ咳をした
斜めにゆっくり顔を上げてみた

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太宰治の『斜陽』が好きで、同じ名前の詩を書いてみたいと思って作った作品です。タイトルを思い付いてから書くというものも結構あります。
これは高校時代に書いた詩ですが、久々に読み返すとワードチョイスがなかなか面白くて結構好きですね。

 

 

秘密

いつかの思い違いが今日の日まで
溶けないで、忘れてないで、凍りついてもいないで
生温かい肌で湿ってた
あなたが夏の傘を開くのを見ていたくて
子どものはしゃぐ声のする緑の坂で 小さく座ってた
自転車のベルとあなたの知らない曲のアラーム、
鳴り止まない檸檬色のテーマ
誰にも教えないよ 文字の風景を切り裂いちゃうから
世界にわたしはひとりきり

あなたの歩幅に約束を感じられたら
そのとき、わたしの薔薇がようやく赤く染まるのです
青いまま、わたしが赤く染まるのです

いつかの思い違いが今日の日まで
此処にいて、其処にいて、許されてもいないで
宝石箱の中で騒いでた
あなたが夏の夢にふれるたびにドキドキしちゃうから
鼓動のグロい音がしたわたしの胸は可愛く濡れていた
白線の外とお空の珍しいムラサキ色、
鳴いてるだけのカラスの眼
めいめい巡ってるの、無味の景色を象るために
世界は今日もぐらんぐらん

あなたの歩幅に約束を感じられたら
そのとき、わたしの薔薇が赤く染まるのです
青いまま、わたしが赤く染まるのです
青い哲学に、わたしのすべてを落としてた
ただそれだけのことなんです

 

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地味目な女の子の夏の恋っていう、少女漫画のようなシチュエーションが実は好きで、そんな情景と心情にイマジネイションを広げ、書いてみました。
これも18歳ごろに書いた詩だったかな?なんか、こんなの書いてるって誰にも言えなかったなぁ。